最終更新日2018/10/26

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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安倍第4次内閣は国難を直視して 将来像を描けるか

 

藤田 正美 (ジャーナリスト)

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 安倍第4次内閣が発足した。その顔ぶれの是非はともかく、安倍首相の任期は長くてもあと3年しかなくなった。第1次安倍政権以来、「年替わり内閣」が続いてきたのに比べると、ある程度は落ち着いて日本の将来を考えることができるような政権だと思う。

 実績もあげてきた。2012年末に発足したとき、日本経済はお先真っ暗と言ってもいいような状況だった。1ドル70円台から80円台と極端な円高が企業業績を圧迫し、その年の6月には8000円台の前半まで落ち込んでいた。今は為替は110円台、企業にとっては安心していられる水準になった。株価も2万3000円前後にも戻している。安倍首相がよく触れる有効求人倍率は今年6月に全都道府県で1を超えている。

 外交でもロシアのプーチン大統領と親密な関係を築いたし、2012年の野田内閣による尖閣国有化以降冷え込んでいた中国との関係も正常な軌道に戻りつつある(とはいえ、中国は尖閣周辺の公船派遣を中止してはいない)。アメリカのトランプ大統領ともいち早く個人的な関係を築いた。その効果は、貿易交渉はともかく、米朝交渉によく表れている。

 しかし将来の日本という視点から見たときはどうだろうか。為替を押し下げ、株価を押し上げてきたのは「異次元の金融緩和」だった。アベノミクス3本の矢のうち、最も重要なのは「成長戦略」のはずだ。日本が少子高齢化、人口減少という「国難」にどう対応し、克服していくのかを考えるとき、新しい成長を支える技術や産業が必要だ。すなわちイノベーションである。

 それを安倍内閣が政策として打ち出し、これまでの6年弱の間に何からの形で実現できたかというとはなはだ心許ない。アメリカはすでに量的緩和から脱却し、金融政策を「正常化」しつつある。欧州もそれに続こうとしているが、日本銀行は量的緩和からの出口さえ見えない。一方で、財政再建はなかなか進まない。すでに2020年の基礎的財政収支の黒字化という目標は先送りしてしまった。

 2019年10月には消費税の待ったなしの引き上げが迫っているし、オリンピック特需も来年の前半には終わるだろう。経済状況は着実に悪くなる。そのときに日本を支えるイノベーションの力が果たして備わっているだろうか。その力がもし不十分だったら、団塊の世代が全員後期高齢者になる「2025年問題」、さらには総人口の3人に1人が高齢者になる「2040年問題」を、ソフトランディングさせることはできまい。それができなければ、まさに国難なのだと思う。

 残り3年でこの課題を解決することは誰が首相でも困難だ。いま安倍首相に必要なことは、日本の危機の姿を国民に伝え、口当たりのいい改革ではなく、痛みの伴う改革が必要だと説得することなのだと思う。それができるかどうかが、安倍首相がステーツマンになる最後のチャンスである。

(元ニューズウィーク日本版編集長)

 

 

 

 


 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


 

 

 

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「カレント」は賀屋興宣(元蔵相・衆議院議員)が昭和39年、左右に偏することなくアメリカ合衆国を盟友として、自由主義社会であるわが国に、正しい世論を喚起することを目的に創刊。政治・経済・防衛・外交・教育を正しく導く論を広く求め、かつ訴えつづけている。カレントの意味は[潮流」。昭和61年には木内信胤(元世界経済調査会理事長)が継承。その間、福田赳夫元総理が維持会世話人代表をされ、根岸龍介が社長として行ってきたが、厳しい環境もあり77才を期に退任する。平成10年6月、潮流社がこの精神を受け継ぎ、日本再生のための潮流を起こす言論活動を開始。次世代のためにも日本を再創造することを広く呼び掛けている。