最終更新日2020/7/25

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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政治家と科学者 責任を持つのはどちら

 

藤田 正美 (ジャーナリスト)

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 しばらく落ち着いていたかに見えた新型コロナウイルス感染症、東京を中心に第2波が早くも始まっているように見える。しかし東京都は、陽性者が増えているのは検査を増やしているからで、病床など医療体制には余裕があるという立場を崩さない。西村康稔担当大臣も「あんな自粛は2度とやりたくないでしょう」などと語って、制限緩和方針を堅持する構えだ。国交省は観光振興キャンペーンを8月から7月に前倒しして実施することにした。

 果たして緩和一色で大丈夫なのか。国民として考えれば、ここは専門家の意見を聞きたいところだが、最近は専門家の発信が少ない。2月、3月の段階では、専門家会議からいろいろな提言が出ていた。SNSを通じての発信もあった。新型コロナウイルスの実態が分からず、テレビなどで不確かな情報も垂れ流される中では、専門家の意見が貴重な道標にもなった。

 しかしその専門家会議は、「突如」廃止されることになった。しかも西村大臣が廃止を発表したときに、やはり記者会見をしていた専門家会議の尾身茂副座長は「その話は知りません」と語り、官邸と専門家の間に何らかの齟齬があることを予想させた。現に、8割おじさんこと西浦博北大大学院医学研究院教授は、政治と科学者の間に緊張関係があったことを示唆している。

 これまでの専門家会議は、新型インフルエンザ等対策有識者会議(尾身茂座長)の下に設置された分科会(新型コロナウイルス感染症対策分科会・尾身茂分科会長)として組織替えされた。しかし専門家会議とこの分科会はまったく似て非なるものである。専門家会議は基本的に感染症などの専門家で構成されていたが、この分科会には医療の専門家の他、経済学者、労働組合、ジャーナリスト、県知事なども入っている。

 新型コロナウイルスの感染予防と経済再開をどう両立させるかは世界的にも大問題だ。経済の維持を第一に掲げ、感染を拡大させ、多数の死者を出しているブラジルのような国もある。また食肉工場で集団感染が発生して、その地域だけロックダウンを延長する措置を取ったドイツのような国もある。アメリカでも経済再開を急いだ州で見直し措置が取られたりしている。

 だからこそ、経済の再開やその後の推移を見守るとき、ある意味、純粋に科学的な議論ができる医療と経済の専門家が必要なのだと思う。その議論や研究を通じて出てきたエビデンスに基づいて提言を出すのが専門家の仕事だ。その提言を採用するかどうかは政治家の仕事である。しかし分科会のメンバー構成を見ると、科学的な知見をメンバー全員が共有できるようには思えない。もしこの分科会が官邸の意向を忖度したような提言を出せば、政治家は自分たちの責任でやるべきことを、分科会のメンバーに押しつけることになる。政策の責任を取らない仕組みは、まさに政治の怠慢なのだと思う。

(元ニューズウィーク日本版編集長)

 

 

 

 


 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


 

 

 

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「カレント」は賀屋興宣(元蔵相・衆議院議員)が昭和39年、左右に偏することなくアメリカ合衆国を盟友として、自由主義社会であるわが国に、正しい世論を喚起することを目的に創刊。政治・経済・防衛・外交・教育を正しく導く論を広く求め、かつ訴えつづけている。カレントの意味は[潮流」。昭和61年には木内信胤(元世界経済調査会理事長)が継承。その間、福田赳夫元総理が維持会世話人代表をされ、根岸龍介が社長として行ってきたが、厳しい環境もあり77才を期に退任する。平成10年6月、潮流社がこの精神を受け継ぎ、日本再生のための潮流を起こす言論活動を開始。次世代のためにも日本を再創造することを広く呼び掛けている。