最終更新日2018/11/30

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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安倍首相は21世紀型 外交哲学を提示すべきです

 

藤田 正美 (ジャーナリスト)

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 世界が注目していたアメリカの中間選挙、結果は、大方の予想に近く玉虫色となった。連邦議会下院で多数派を失ったとはいえ、上院では多数派を確保した。明らかになったのは、トランプ大統領の岩盤支持層が健在であること、共和党でもトランプを歓迎する人が増えていること、民主党は党内右派と党内左派が分断していることだろうか。そしてアメリカはますます外に敵を求めて「自国第一主義」で動いていくように見える。

 こうした流れは世界的に広がっている。EU(欧州連合)の事実上のリーダーであるドイツのメルケル首相は、さんざんトランプ米大統領に抵抗していたが、国内の支持を失ってしまった。スウェーデンでもやはり自国第一主義を唱える政党が躍進したし、東欧も同じ状況だ。イギリスがEUから脱退したのものその流れで読み解くことができる。

 背景にあるのは、自由な資本主義社会が行き詰まりつつあるという危機感だ。これまでいわゆる先進国は、自由と民主主義を共通理念として行動してきた。少なくとも20世紀中は、それが誤りであるとする人は多くはなかった。その流れを変えたのはグローバリズムと中国の台頭だと思う。

 グローバリズムは、企業の国際化(生産拠点の外国移転)を促進した。そして企業は税金の安い国を利用して「税逃れ」を実現した。GAFA(グーグル、アップル、フェイスブック、アマゾン)と呼ばれる巨大IT企業がその元凶として槍玉にあげられた。彼らは、情報を使って21世紀の新しい企業として台頭してきたのだが、その裏には若い企業らしからぬ「不公正さ」があることに多くの人々が落胆した。またグローバリズムによって発展途上国は、経済力を高めたものの、先進国では多くの人々が職を失った。

 そして中国が急速に力を伸ばしていることへの不安がある。中国経済の発展は予想されたことだが、想定外が一つあった。経済が発展すれば中国も先進国と同じ自由や民主主義を基本とする国に近づくだろうと考えていた。しかし違ったのである。中国は習近平の任期制限を外すなど独裁色を強めている。そればかりか、アメリカに張り合って「世界を二分割」などというまるで20世紀前半のような帝国主義的発想ものぞかせている。

 こんな時代にあって安倍首相は外交の基本原則をどこに置くのか。安全保障上はアメリカと手を組むしかないとしても、自由貿易を守るという原則をどこまで貫けるのか。そして世界の外交舞台でどの国を日本のパートナーとすべきなのか。これまでうまくやってきた日本の外交も、ここに来て真価を問われるようになった。あくまでも自由や民主主義という価値観を守るとすれば、どこかで多くの国と対立することも想定しなければなるまい。それとも日本的な新しい「哲学」を提唱するのか。それが何かは難しいが、望ましい選択だと考えるのは私だけではあるまい。

(元ニューズウィーク日本版編集長)

 

 

 

 


 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


 

 

 

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「カレント」は賀屋興宣(元蔵相・衆議院議員)が昭和39年、左右に偏することなくアメリカ合衆国を盟友として、自由主義社会であるわが国に、正しい世論を喚起することを目的に創刊。政治・経済・防衛・外交・教育を正しく導く論を広く求め、かつ訴えつづけている。カレントの意味は[潮流」。昭和61年には木内信胤(元世界経済調査会理事長)が継承。その間、福田赳夫元総理が維持会世話人代表をされ、根岸龍介が社長として行ってきたが、厳しい環境もあり77才を期に退任する。平成10年6月、潮流社がこの精神を受け継ぎ、日本再生のための潮流を起こす言論活動を開始。次世代のためにも日本を再創造することを広く呼び掛けている。