最終更新日2020/6/25

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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コロナ禍で目立つ 知事の資質

 

藤田 正美 (ジャーナリスト)

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 新型コロナウイルスに伴う全国緊急事態宣言が発せられたのは4月7日。この日は、日本の政治の中でも画期的な日として記憶されることになるかもしれない。

 いろいろな意味があるだろうが、特に指摘したいのは、この宣言によって、中央と地方の力関係が大きく変わったことだ。緊急事態宣言の下では、飲食店やパチンコ、カラオケといった店に対する休業要請は、都道府県知事が決めることになる。中央の方針ともし違った対応をしたとしても、国としてはいろいろ圧力はかけるだろうが、最終的には知事の権限だと突っぱねられればそれまでだ。

 知事としての指導力を最初に見せつけたのは北海道の鈴木直道知事だった。3月1日に北海道として緊急事態宣言を行い、道民に対して移動を自粛するよう要請した。何の法的根拠もない宣言だったが、それでも北海道は第一波の新型コロナウイルスを食い止めたのである。鈴木知事は39歳と全国の知事で最年少だ。東京都の職員から夕張市長に転じ、財政を立て直した。この宣言による行動に目を見張った知事もいたに違いない。

 次いで名を挙げたのが、大阪の吉村洋文知事である。こちらも44歳と若い。吉村知事はコロナウイルス陽性者を分けて、ホテルなどに収容する大阪モデルをいち早く明らかにした。ある時、こう言ったことがある。「専門家の意見を聞いて、私が決める。それが政治家の責任だ」。ともすれば、専門家の陰に隠れて、あるいは言を左右にして、自分たちの責任を取らない政治家が多い中で見上げた覚悟だと思う。安倍首相もよく「責任は私にある」と答弁するが、その責任をどう取るのかについては、ついぞ聞いたことがない。

 日本の政治制度の中で、明治維新の前と後で地方の位置づけは大きく変わった。それまで領土をそれぞれに治めていた藩が廃止されて県になり、中央が県令を任命するようになった。中央集権体制である。それが公選制に変わったのは戦後になってからだ。ただ公選制になったからといって、すぐさま地方が自治体として自立するわけではない。相変わらず地方交付税交付金などの予算配分やら何やらで地方を中央の影響下に置こうとする努力が続けられることになる。

 その結果、知事は基本的に中央に飼い慣らされてきた。それが今回のコロナウイルス騒動でひっくり返った。小池百合子東京都知事は、ベテランの政治家らしくネーミングはうまいし、政府に対しても発言力がある。ただ政治家としてどこまでリスクを取る覚悟があるのかということで見ると、今一つ物足りない感じがする。

 アメリカの州とは成り立ちが違うから比較はできないとしても、州知事出身者が大統領になるケースが多い。日本でも都道府県知事が直接選挙で一国のリーダーになる日が来るのだろうか。せっかく活きのいい若手政治家が出ても、それが中央政党組織の中で窒息していくのでは、日本の政治に未来はないかもしれない。

(元ニューズウィーク日本版編集長)

 

 

 

 


 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


 

 

 

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「カレント」は賀屋興宣(元蔵相・衆議院議員)が昭和39年、左右に偏することなくアメリカ合衆国を盟友として、自由主義社会であるわが国に、正しい世論を喚起することを目的に創刊。政治・経済・防衛・外交・教育を正しく導く論を広く求め、かつ訴えつづけている。カレントの意味は[潮流」。昭和61年には木内信胤(元世界経済調査会理事長)が継承。その間、福田赳夫元総理が維持会世話人代表をされ、根岸龍介が社長として行ってきたが、厳しい環境もあり77才を期に退任する。平成10年6月、潮流社がこの精神を受け継ぎ、日本再生のための潮流を起こす言論活動を開始。次世代のためにも日本を再創造することを広く呼び掛けている。