最終更新日2019/4/26

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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加速する人口減少 政治は現実を直視せよ

 

藤田 正美 (ジャーナリスト)

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 経済の先行きというのはなかなか分からない。しかし人口はかなり正確に予測できるものの一つである。合計特殊出生率(1人の女性が生涯で何人の子どもを産むかという数字。人口を維持するためには2.1が必要だとされる)が1.26という史上最低になったのは2005年のことだから、人口減少が加速することはかなり早くから分かっていた。

 しかし人口減少に政治はどれだけ本気で取り組んだだろうか。女性は「産む機械」と発言した大臣はいたけれど、子どもを増やすためにどうするかという具体策にはなかなか手がつかなかった。1.26という水準が徐々に切り上がり、危機感が薄れたのかもしれない。安倍政権では「希望出生率」という概念を持ちだして1.8を目標とするなどと言ったが、そのためにやったことは補助金をつけることと保育園を増やすことぐらい。現在の出生率は1.5を下回っていて「目標」には遠く及ばない。

 そして人口減少はいよいよ加速しはじめた。総務省による昨年10月1日現在の人口推計値は1億2644万人、前年から比べて26万人以上減った。減少は8年連続、減少幅は過去最大である。しかも子どもの数が減っている。2018年の出生数はこれも推計だが92万人あまり。いわゆる団塊の世代のころは270万近くいたのだから、子どもはその頃の3分の1になったということだ。

 子どもの出生数が減り、人口が減ることの最大の問題は何か。よく言われる「生産性を上げれば労働力が減っても成長は維持できる」という議論はピント外れと言ってもいい。最大の問題は、生産年齢人口(15〜64歳)の人々と従属人口(1〜14歳、65歳以上)の人々との割合である。今回の推計でも、生産年齢人口は7545万人、総人口に占める比率は6割を下回っている。

 生産年齢人口と従属年齢人口が半々になるのももうすぐだ。つまり支え手1人で1人を支える「肩車型」である。ここに大きな問題がある。支える負担が大きくなれば、当然のことながら生産年齢人口すなわち現役組の消費は抑えられる。親や子どもを支えるのに費用がかかるからだ。

 かつての高度成長期にはまったく逆のことが起こっていた。従属人口の割合が少なく、現役世代には余裕があった。それが消費に周り、高度成長が実現した。これを「人口ボーナス」という。現在起きているのは「人口オーナス(負担)」だ。つまり消費需要が抑制されてしまうのである。しかもこの傾向はどんどん加速する。そういった中では、従来の経済政策だけでは対応できない。

 「縮む日本経済」をどのようにできるだけ軟着陸させるのか。政治の役割は国民に夢を与えることだというが、このような時代には現実を直視し、将来にどう備え、国民をどう説得するかがより重要だと思う。やらねばならないことははっきりしている。国民にさらに負担を求めることが不可避だ。そのためには既得権益に切り込むことが必要だろう。安倍政権はそれを成すことが責務である。

(元ニューズウィーク日本版編集長)

 

 

 

 


 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


 

 

 

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「カレント」は賀屋興宣(元蔵相・衆議院議員)が昭和39年、左右に偏することなくアメリカ合衆国を盟友として、自由主義社会であるわが国に、正しい世論を喚起することを目的に創刊。政治・経済・防衛・外交・教育を正しく導く論を広く求め、かつ訴えつづけている。カレントの意味は[潮流」。昭和61年には木内信胤(元世界経済調査会理事長)が継承。その間、福田赳夫元総理が維持会世話人代表をされ、根岸龍介が社長として行ってきたが、厳しい環境もあり77才を期に退任する。平成10年6月、潮流社がこの精神を受け継ぎ、日本再生のための潮流を起こす言論活動を開始。次世代のためにも日本を再創造することを広く呼び掛けている。