最終更新日2020/5/25

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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国家的な危機 リーダー3人の違い

 

藤田 正美 (ジャーナリスト)

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 危機のときほど、リーダーとしての政治家の資質が表れるものだ。日本を襲った危機といえば、最近は2008年のリーマンショック、時の総理は麻生太郎氏だった。2011年の東日本大震災、そのときは菅直人首相、そして2020年の新型コロナウイルス危機においては安倍晋三首相が指導者である。

 危機は時間が経てばいつかは終わる。先が見えない新型コロナウイルスでさえ、ワクチンが開発され、治療薬ができれば、やがては普通のインフルエンザ並みに扱われるようになるのだろう。

 リーダーの資質が問われるのは、危機のときに状況をどれほど正確に把握し、その危機から国民の生命と財産を守ろうとするかだ。たとえばリーマンショック、麻生首相は意気揚々とワシントンで開かれたG20サミットに出かけていった。日本はすでに金融危機を経験しているから、世界各国にその対策を教えるために行くのだという主旨のことを言った。しかしリーマンショックは、麻生首相の想像を遙かに超えていたし、日本への影響も遙かに大きかった。国民に対する1万2000円の給付も評判は悪かった。

 菅首相はどうだろう。東日本大震災の被害は甚大だった。死者は1万8000人を超え、東電の福島第一原発は世界最悪級のメルトダウンを起こした。菅首相は東電本社や福島の現場に飛んだりして、危機の全体像を把握するという指導者の役割を忘れてしまったかのようだった。原子炉に海水を注入するという報告に接して、再臨界の恐れを指摘し、注入を遅らせるということもした。そして最悪だったのは、事故と事故への対処を逐一記録することをしなかったことである。収束後にそのことが明らかになると、慌てて官僚のメモをかき集めて「記録」を残すという大失態を演じた。

 この二人の前任者に比べると、安倍首相はまだうまくやっているように見える。その理由の一つは、今回のパンデミックではまだ考える時間があったからだ。それに感染症対策ではWHO(世界保健機関)などで活動してきた専門家がたくさんいた。彼らはSARSやMERSといったパンデミックのときに、日本以外の地でも経験を積んでいた。

 専門家の知見にしたがって4月には緊急事態宣言を発し、国民に移動や接触の自粛を求めた。行動に移るのが遅かったという批判はあるものの、結果的には部分的とはいえ宣言を解除するというところまで感染を抑え込んでいる。

 もっともこれで万々歳というわけには行かない。新型コロナウイルスの第二波、第三波は必ず来るだろうし、それがインフルエンザと重なれば、再び医療崩壊の瀬戸際に追い込まれる可能性もある。自然災害と違って、パンデミックはどこまで行けば完全にコントロールできたか分からないのである。「自粛疲れ」の国民にそれをどう納得させながら、危機の芽を摘んでいくのか、それによって安倍首相の歴史的な評価が決まる。

(元ニューズウィーク日本版編集長)

 

 

 

 


 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


 

 

 

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「カレント」は賀屋興宣(元蔵相・衆議院議員)が昭和39年、左右に偏することなくアメリカ合衆国を盟友として、自由主義社会であるわが国に、正しい世論を喚起することを目的に創刊。政治・経済・防衛・外交・教育を正しく導く論を広く求め、かつ訴えつづけている。カレントの意味は[潮流」。昭和61年には木内信胤(元世界経済調査会理事長)が継承。その間、福田赳夫元総理が維持会世話人代表をされ、根岸龍介が社長として行ってきたが、厳しい環境もあり77才を期に退任する。平成10年6月、潮流社がこの精神を受け継ぎ、日本再生のための潮流を起こす言論活動を開始。次世代のためにも日本を再創造することを広く呼び掛けている。