最終更新日2019/7/26

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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自衛隊を中東に派遣するのか 安倍首相の正念場

 

藤田 正美 (ジャーナリスト)

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 憲法に自衛隊を明記するとして改憲論を打ち出している安倍晋三首相。しかし自衛隊を巡る状況は、憲法に明記するかどうかという範囲をはるかに超えそうな勢いだ。

 きっかけはイラン革命防衛隊によるとされる日本籍タンカーへの攻撃である。つい先日は、英国籍タンカーがやはり革命防衛隊によって拿捕されそうになり、英海軍がそれを阻止したという事件があった。両方の件についてイラン側は否定している。

 そこでアメリカは、ホルムズ海峡などを通過する商船を守る「有志連合」を結成するとし、各国に参加を呼びかけている。もちろん日本にもそうした呼びかけはあるだろう。自衛隊トップの統合幕僚長は、具体的なやり取りについてノーコメントとしているが「各国が自分の国の商船を守るべきだ」というトランプ大統領の発言からすると、日本の自衛隊の「憲法上の立場」をアメリカが気にするはずもなかろう。

 アメリカは日本と日米安全保障条約を結んでおり、米軍は日本の防衛義務を負っている。日中間で尖閣をめぐって状況が緊迫したとき、アメリカは「尖閣諸島は日米安保条約の適用範囲に含まれる」とたびたび明言したのは、防衛義務を確認したものだった。しかし一方の日本はどうか。「集団的自衛権は保有しているが、憲法の制約上それを行使することはできない」というのが長い間、基本的な立場だった。ようやく2014年に安倍内閣の下で、一定の条件を満たせば、集団的自衛権を行使できると定めている。ただそのためには「日本の存立が脅かされる存立危機事態」など3つの要件を満たす必要があり、ホルムズ海峡での活動がそれにあたるかどうかはかなり高いハードルがある。

 世界が集団的自衛をどう考えているか興味深い例がある。バルト三国だ。ソ連が崩壊した後、エストニアなど三国はロシアから離れ、すぐに西側の軍事同盟であるNATO(北大西洋条約機構)に加盟した。そしてその後、アフガンやイラクなどNATOの軍事行動に参加している。人口が130万ほどのエストニアには4000人を下回るほどの軍隊しかないが、それでもNATO加盟国としての義務を果たそうとする。それは集団的自衛権で自分たちの国を、ロシアから守ってもらうためだ。実際、ロシアがクリミアをウクライナから奪取したとき、アメリカのオバマ大統領はすぐさまエストニアに飛んで、ロシアの行動を非難した。NATOはバルト三国を守るという意思表示だった。集団的自衛権とは双務的なものだというのが日本を除く世界各国の常識である。

 ホルムズ海峡に自衛隊を派遣するのかどうか、その法的根拠はどうするのか、トランプ大統領は注視しているだろう。日本の出方次第では日米安保における「不平等性」についてさらに不満をぶつけてくるかもしれない。自衛隊を明記するというような理念的な話ではすまない、大きな現実が目の前に迫っている。政治家として国民をどのように説得するのか、予想もしていなかった正念場が安部首相の眼前にある。

(元ニューズウィーク日本版編集長)

 

 

 

 


 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


 

 

 

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「カレント」は賀屋興宣(元蔵相・衆議院議員)が昭和39年、左右に偏することなくアメリカ合衆国を盟友として、自由主義社会であるわが国に、正しい世論を喚起することを目的に創刊。政治・経済・防衛・外交・教育を正しく導く論を広く求め、かつ訴えつづけている。カレントの意味は[潮流」。昭和61年には木内信胤(元世界経済調査会理事長)が継承。その間、福田赳夫元総理が維持会世話人代表をされ、根岸龍介が社長として行ってきたが、厳しい環境もあり77才を期に退任する。平成10年6月、潮流社がこの精神を受け継ぎ、日本再生のための潮流を起こす言論活動を開始。次世代のためにも日本を再創造することを広く呼び掛けている。