最終更新日2019/10/30

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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生まれる子どもは90万人割れ 希望的観測より危機感を

 

藤田 正美 (ジャーナリスト)

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 2019年に生まれる子どもの数が90万人を切る可能性があるという。毎年生まれてくる子どもの数が100万人の大台を割ったのは2016年のことだ。それからわずか3年、少子化は前例のないスピードで進んでいる。

 90万人という数がどれだけ少ないか。いわゆる団塊の世代は、1947年、48年、49年に生まれた人々を指すが、この人々の合計は8百万を越え、一学年で270万人ほどいた。それと比べると、現在の90万人は3分の1にしかすぎない。70年の間に70%近く子どもが減ったのである。

 日本の人口減少はまさにフリーフォールのような様相を呈している。そんなときに、現在を生きているわれわれが絶対にしてはいけないことは将来に負債を残すことだ。なぜならその負債を背負う人々の数が減ることが確実であり、一人当たりの負債額が増えるからだ。経済成長がますます難しくなる中では、負債を返すどころかむしろ負債が増えていく。そうなれば、国だけでなく企業でも家計でも財政が破綻するケースが増えるだろう。

 しかし安倍政権だけでなく、一般国民にもその危機感はあまりないように見える。

 安倍総理は今臨時国会の答弁で、経済運営をうまくやれば今後十年ぐらいは消費税を上げる必要はないと思うという主旨の発言をした。しかし残念ながらその具体的な根拠は示さなかった。そもそも基礎的財政収支を2025年には黒字化させるという目標(この目標自体も後ろ倒ししたものだ)すら達成が危ういというのに、なぜ十年も増税しなくてすむといえるのか、私には理解しがたい。

 人口減少と同時に人口動態の変化は経済に大きく影響する。かつて高度成長期は生産年齢人口(15歳から65歳未満)に比べて、従属人口(15歳未満と65歳以上)は半分ほどであった。このときは生活に余裕があり、それが消費に回って経済成長を押し上げた。今はこれが一対一に近づきつつある。そうなれば従属人口を支えることで、生活に余裕がなくなり、現役世代の消費は減る。日本の消費がなかなか強くならないのも、底流にはこうした社会構造の変化があるだろう。

 医療や年金、介護にもこうした影響は表れる。団塊の世代が全員「後期高齢者」になれば、日本の医療費は跳ね上がるだろうし、その人々のほとんどが1割負担になれば、保健財政は破綻するだろう。

 しかし人口減少を止めるのは難しい、というよりほとんど不可能である。それでも出生率を引き上げることに成功した国がないわけではない。とくに有名なのはフランスだ。ただフランスは100年以上もあの手この手で人口対策をしてきた。対照的に、日本はほとんど何もしてこなかった。それでも何か手を考えることができるだろうか。人口減少に悩む世界の国は注目している。

(元ニューズウィーク日本版編集長)

 

 

 

 


 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


 

 

 

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「カレント」は賀屋興宣(元蔵相・衆議院議員)が昭和39年、左右に偏することなくアメリカ合衆国を盟友として、自由主義社会であるわが国に、正しい世論を喚起することを目的に創刊。政治・経済・防衛・外交・教育を正しく導く論を広く求め、かつ訴えつづけている。カレントの意味は[潮流」。昭和61年には木内信胤(元世界経済調査会理事長)が継承。その間、福田赳夫元総理が維持会世話人代表をされ、根岸龍介が社長として行ってきたが、厳しい環境もあり77才を期に退任する。平成10年6月、潮流社がこの精神を受け継ぎ、日本再生のための潮流を起こす言論活動を開始。次世代のためにも日本を再創造することを広く呼び掛けている。