最終更新日2019/1/26

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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日本の新しいビジョン それを提示する政治家は誰?

 

藤田 正美 (ジャーナリスト)

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ガラパゴス日本は いつになったら変わる?

 日産のカルロス・ゴーン前会長がなかなか保釈されない。報酬の過小記載に続いて特別背任でも起訴されたというのに、まだ「証拠隠滅の恐れがある」と裁判所は判断した。このゴーン事件で、海外メディアに日本の「人質司法」という言葉がすっかり定着してしまった。

 日本は先進国で、人権意識も高く、言論の自由も報道の自由も保証されていると多くの人が考えているだろう。しかし実際にはそうでもない。英米の犯罪ドラマを観ている人にはお馴染みだろうが、容疑者が警察の取り調べを受けているとき「弁護士が来るまで一言も話さない」とよく口にする。それに取り調べの様子は多くの場合、録音され、あるいは録画されている。

 日本でも録画して取り調べを「可視化」しようという議論はあるものの、まだ全面的に採用されるにはいたっていない。自白を得るために「行き過ぎた」取り調べをしないようにすることが目的だが、警察や検察は抵抗している。

 警察が逮捕してから、検察が起訴か不起訴か決めるまでに通常23日間の勾留が可能だ。その間に裁判官の判断が3度入る。今回のゴーン事件で検察は、通常の勾留延長以外に、別の容疑で再逮捕して勾留期間を伸ばすという常套手段を用いた。ただ2度目の再逮捕に関しては時期の違う報酬の過小記載という容疑であったため、さすがに裁判所も勾留延長を認めなかった。そのため検察は、特別背任の容疑で予定を前倒しして再逮捕せざるをえなくなった。これは特捜部が扱う事件としては極めて希であるとして話題になったほどである。

 しかし起訴されてからもそう簡単に保釈されない。実際に裁判が始まれば、被告も公の場で主張できるが、裁判が始まる前に延々と勾留されることもありうる。とくに被告が全面的に否認していると、いつまでも勾留される。長期拘留されたケースとしては、鈴木宗男氏や籠池泰典氏などの事件が有名だ。私の身近でも、延々と2年近くにわたって勾留された事件があった。この事件も特捜案件だったが、たとえ有罪になったとしても執行猶予がつくような事件だっただけに、この長期拘留は納得のいかない措置だと思う。頑として否認を続ける被告の心を折ろうとする検察の嫌がらせにしか思えなかったし、それに加担するかのような裁判所にも不信感がある。それが検察の「精密起訴」を支えているとしたら、被告の人権を犠牲にして成り立っていると言わざるをえまい。

 人間の歴史は、国家家権力と個人とのせめぎ合いという側面を持っている。公権力を行使する国家は、市民を簡単にこうそくしていいものではない。まして推定無罪の原則をないがしろにしていいわけでは絶対にない。その結果、今までより有罪にできる被告が減ったとしても、それは近代社会にとって必要なリスクだ。

 日本のいろいろなシステムが独自の進化を遂げることをガラパゴス的進化と呼ぶ。経済がグローバル化し、外国の人々が数多く日本に住むようになっているし、これからもさらに増える。そんなとき日本の社会の安寧を保つ司法が、世界から理解を得られないガラパゴスでいいのだろうか。

(元ニューズウィーク日本版編集長)

 

 

 

 


 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


 

 

 

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「カレント」は賀屋興宣(元蔵相・衆議院議員)が昭和39年、左右に偏することなくアメリカ合衆国を盟友として、自由主義社会であるわが国に、正しい世論を喚起することを目的に創刊。政治・経済・防衛・外交・教育を正しく導く論を広く求め、かつ訴えつづけている。カレントの意味は[潮流」。昭和61年には木内信胤(元世界経済調査会理事長)が継承。その間、福田赳夫元総理が維持会世話人代表をされ、根岸龍介が社長として行ってきたが、厳しい環境もあり77才を期に退任する。平成10年6月、潮流社がこの精神を受け継ぎ、日本再生のための潮流を起こす言論活動を開始。次世代のためにも日本を再創造することを広く呼び掛けている。