最終更新日2018/07/26

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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無定見な参院「改革」 この国の議会を取り戻そう

 

藤田 正美 (ジャーナリスト)

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 参議院の定数が変わる。一票の格差を三倍以内に抑えるために、人口の多い埼玉選挙区の定員を2議席増やし、比例代表を4議席増やして、人口が少なくて合区になった鳥取・島根、徳島・高知から出ていた候補者を救済しようという制度だ。

 参議院の定数が増えるのは1970年の沖縄復帰以来だから、半世紀近くも増えていなかった定数を一挙に6議席も増やすことになる。そもそも人口減が進む日本で、国会議員の数を増やすという大義があるのかという素朴な疑問もある。衆議院の「カーボンコピー」と化している参議院をどう改革するのかという議論も理念も何もなく、一票の格差に名を借りたつじつま合わせにしか見えない。さすがに連立を組む公明党も、11の大選挙区制にするという対案を国会に提出したが、これすらも大した議論もされることはなかった。

 しかし「一票の格差」の是正はそれほど重要なのだろうか。もちろん民主主義の原則という考え方はわかる。都市部と農村部(あるいは地方)で当選ラインが大幅に違うのなら、それは不公平に違いない。衆議院のように小選挙区ならなおさらだ。ただもし本当に格差を是正したなら何が起こるか、考えてみて欲しい。衆議院でも参議院でも、結局、最大多数となるのは都市部の高齢者の票を獲得した議員になる。それは火を見るより明らかだ。

 それが参議院の望ましい姿なのか。2017年の衆議院選は、結果的に自民党が圧勝した形になったが、得票率ということで見ると、小選挙区で48%、比例区では33%でしかなかった。しかし獲得議席数は小選挙区と比例区を合わせて465議席中284議席である。投票しなかった有権者を計算に入れれば、とても議席数が「民意を代表している」とは言えまい。そして悪いことに参議院もそれと似たり寄ったりである。

 これでは衆議院で議決された法案が参議院で否決されるかもしれないというような緊張感は生まれようもない。与党に対抗する手立てのない野党は、必然的に日程闘争に陥り、何とか審議を引き延ばして成立させないようにする。それが森友、家計問題が長引く一つの背景でもある。

 そこで少し大胆な提案をする。参議院はいっそ完全比例代表にしたらどうだろうか。一票の格差がほとんどないこの制度では、少数政党が乱立する原因となるかもしれないが、現実的な政策を形成する一つのきっかけになる可能性もあると思う。なぜなら法案を参議院を通過させるためには、現在の自民党ですら、どこかで野党と真剣に協議することが必要になるだろう。必然的に、政治家も勉強しなければならず、鍛えられるかもしれない。政治とは、説得と妥協であると思う。それこそ、日本の政治にいちばん欠けているものだ。

(元ニューズウィーク日本版編集長)

 

 

 

 


 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


 

 

 

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「カレント」は賀屋興宣(元蔵相・衆議院議員)が昭和39年、左右に偏することなくアメリカ合衆国を盟友として、自由主義社会であるわが国に、正しい世論を喚起することを目的に創刊。政治・経済・防衛・外交・教育を正しく導く論を広く求め、かつ訴えつづけている。カレントの意味は[潮流」。昭和61年には木内信胤(元世界経済調査会理事長)が継承。その間、福田赳夫元総理が維持会世話人代表をされ、根岸龍介が社長として行ってきたが、厳しい環境もあり77才を期に退任する。平成10年6月、潮流社がこの精神を受け継ぎ、日本再生のための潮流を起こす言論活動を開始。次世代のためにも日本を再創造することを広く呼び掛けている。