最終更新日2019/3/25

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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大変化の日本 自民党はビジョンの追求を

 

藤田 正美 (ジャーナリスト)

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 選挙が近づくと、自民党幹事長の発言が何かと注目される。選挙に勝つのが幹事長の最大の仕事とあれば当然かもしれない。しかし、どうも最近の二階俊博幹事長の発言は納得できないものが多い。

 このところ気になった発言をあげる。ひとつは、来年初夏に予定される東京都知事選で、小池百合子現知事の支持を表明したこと。さらに、安倍首相について総裁任期をさらに延ばすこともありうると発言したことである。

 両方とも「選挙に勝つ」ということを意識した発言だ。小池現知事への支持については「他に勝てる候補がいるか。選挙は勝てなければ意味はない」と言い放った。また安倍総裁の任期をさらに延長するという発言もあった。これも要するに、選挙に勝てる総裁は安倍総裁をおいて他にないという論理である。

 ここには大きな問題がある。第一に、そもそも総裁の任期制限があるのは、多選の弊害があったからだ。いつまでも古い連中が仕切る組織は、新陳代謝が生まれにくく硬直化しがちだ。もちろん後継者も育たない。後継者を育てるのではなく、つぶすのが長期政権の常套手段である。やがてその組織は、環境に順応できなくなり、変化に対して脆弱になる。それが実際にあったからこそ、任期制限が設けられたはずだ。

 第二に、日本という社会が置かれている環境だ。それは今まさに曲がり角だ。人口減少と高齢化によって社会の活力が失われ、地方自治体では、高齢化に伴って税収が減って予算を縮小せざるをえなくなりつつある。こんな状況を日本社会はかつて経験したことはない。日本のその構造変化をどのように乗り切るのか、世界も固唾を飲んで見守っているほどだ。そのような国のリーダーは、たとえ暗いビジョンであっても、それを説明し、国民を説得しなければならない。

 しかし残念ながら、安倍首相は将来の日本がどう変わるか、社会をどのように維持していくかというビジョンを示すことなく、むしろ先送りしているように見える。今年の消費税増税に伴う「緩和措置」も、選挙に負けないための大盤振る舞いのようだ。1000兆円という借金を抱えた国の首相ならば、将来の子孫に負担を残さないために何をするかを国民に告げなければならないのに、それをしない(野党もビジョンがないという意味では、ほとんど守旧派となり、それが日本の政治を貧困にしていると思う)。

 政治の役割は明らかに変わっている。これまでの右肩上がりの時代に見られたようなパイの分配を調整するのが仕事ではない。むしろ負の分配が仕事だ。分かりやすく言ってしまえば、誰が得するのかではなく、誰が損するのかを調整するのが政治の役割である。社会保障だけではない。インフラの維持管理も同じだ。そんな時代に、選挙に勝つことだけを大義名分にするなら、それは自民党が時代に取り残される前兆だと思う。変化にどう対応するか、それは次の世代を担う新しい顔ぶれに任せるのが長老の知恵だ。

(元ニューズウィーク日本版編集長)

 

 

 

 


 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


 

 

 

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「カレント」は賀屋興宣(元蔵相・衆議院議員)が昭和39年、左右に偏することなくアメリカ合衆国を盟友として、自由主義社会であるわが国に、正しい世論を喚起することを目的に創刊。政治・経済・防衛・外交・教育を正しく導く論を広く求め、かつ訴えつづけている。カレントの意味は[潮流」。昭和61年には木内信胤(元世界経済調査会理事長)が継承。その間、福田赳夫元総理が維持会世話人代表をされ、根岸龍介が社長として行ってきたが、厳しい環境もあり77才を期に退任する。平成10年6月、潮流社がこの精神を受け継ぎ、日本再生のための潮流を起こす言論活動を開始。次世代のためにも日本を再創造することを広く呼び掛けている。