最終更新日2019/11/25

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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マクロン大統領の警告 日本はどう受け止めるのか

 

藤田 正美 (ジャーナリスト)

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 「NATO(北大西洋条約機構)は『脳死状態』だ」。フランスのエマニュエル・マクロン大統領は、英エコノミスト誌のインタビューでこんな衝撃的な言葉を使った。こうも語っている。「EUは自らを単なる市場として考えてきたが、政治ブロックとして行動しなければならない」。

 マクロン大統領の危機感は、トランプ米大統領が米国とEUとの間に共通の利益を認めないところから生まれている。やがて米国は欧州から手を引き、結果的にNATOという軍事同盟は骨抜きになるかもしれないというのである。

 トランプ大統領がEUに興味がないことは明白だ。EU諸国はNATOの軍事費を応分に負担していないと不満をあからさまに表明し、とりわけドイツを激しく非難した。シリアからNATOに相談することも通告することもなかった。結果的にNATOの一員であるトルコがシリアに攻撃をかけた。また貿易面でも、欧州からの自動車輸入に高関税をかける構えを見せている。欧州が熱心な温暖化ガス排出規制にも米国はパリ協定からの離脱という形でそっぽを向いた。

 このマクロン大統領の「警告」を日本の指導者はどう受け止めるのだろう。日本も自分たちを市場と考え、経済的な活動をすることのみに専心してきた。これは戦後一貫した政策である。防衛は米国に任せ、日本は戦後復興に邁進し、大成功を収めてきた。

 しかし旧ソ連に対して封じ込め政策を採用したときのように、米国は東アジアに注目しているようには思えない。対中政策にしても貿易面では圧力を強めているが、南シナ海への中国の進出については「航行の自由作戦」以上のことはしていないように見える。台湾に武器を売ることには熱心だが、米国自身のコミットメントということになるとどこまで本気か疑問だ。北朝鮮に関しても、金正恩委員長とのパフォーマンスは何度も見たが、具体的な進展はほぼゼロだ。

 日本に対しても、貿易面での圧力はしっかりかけてくる。もちろん米軍の駐留経費についても負担増を求めてくるだろう。はっきり言ってしまえば、トランプ大統領にとっては東アジアの安全保障よりも、米国の「目先の利益」のほうが大事だということだ。いつの間にか、日米安保条約が「脳死状態」になるか分からないと言ってもいい。

 米国の東アジアへのコミットメントが薄れたとき、日本はどうするのか。近隣には軍事同盟を結ぶような相手はいないし、自前で安全保障を確保しようとすれば、核武装するしかないようにさえ見える。もちろん核武装が国内や近隣諸国から激しい反発を引き起こすことは火を見るより明らかである。

 かといって、独裁者色を強めるロシアや中国と共通の価値観をもつことは難しい。そうなるとトランプ大統領が来年再選されたときは、東アジアから米国を逃がさないようにすることだが、仲のいい安倍首相にそれができるだろうか。

(元ニューズウィーク日本版編集長)

 

 

 

 


 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


 

 

 

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「カレント」は賀屋興宣(元蔵相・衆議院議員)が昭和39年、左右に偏することなくアメリカ合衆国を盟友として、自由主義社会であるわが国に、正しい世論を喚起することを目的に創刊。政治・経済・防衛・外交・教育を正しく導く論を広く求め、かつ訴えつづけている。カレントの意味は[潮流」。昭和61年には木内信胤(元世界経済調査会理事長)が継承。その間、福田赳夫元総理が維持会世話人代表をされ、根岸龍介が社長として行ってきたが、厳しい環境もあり77才を期に退任する。平成10年6月、潮流社がこの精神を受け継ぎ、日本再生のための潮流を起こす言論活動を開始。次世代のためにも日本を再創造することを広く呼び掛けている。