最終更新日2019/12/26

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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日本の生き残りをかけて 未来を託す若者を育てる

 

藤田 正美 (ジャーナリスト)

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 国会は国権の最高機関であるというのは言うまでもないことだが、秋の臨時国会を見ていると、国会議員たちがとてもその付託に応えているとは言い難い。内外にいろいろ課題が山積しているというのに「桜を見る会」にあまりにも時間を取られたからだ。もちろん桜を見る会では政府側の対応も決してほめられたものではなく、国民の多くが納得していない。辞任した二人の大臣にしても、説明責任を果たすと言いながら、結局は穴蔵に引っ込んだまま出てこない。

 しかしこの欄でも何度も主張してきたように、日本はかなり危機的な状況にある。生まれてくる子どもの数は今年90万人を切る。これに対して年間の死亡者数はほぼ140万人に達する。今後は1年で50万人の人口が減っていく。毎年、鳥取県が一つずつ消えていくと言ったほうが実感が湧くかもしれない。1年で100万人が減るようになるのも時間の問題だ。

 ある地域の人口が集中的に減るのなら、まだ対処がしやすいかもしれない。その地域の「地方創生」は諦めて、別の地域に資源を投入するという政策判断も可能だろう。しかし現実にはそうはいかない。どこの地域も多かれ少なかれ人口が減っていく。隣町同士で、出産手当などを奮発して若い人の奪い合いをすることには意味がない。

 人口減少というと女性の社会参加や定年の引き上げやらで労働力を確保するという話が出てくるが、問題は労働力ではない。要するに高齢者に対してそれを支える現役世代が減り、その結果、現役世代の消費能力が低下することが問題なのだ。すなわちGDPの6割を占める個人消費が減っていくということだ。徐々にシュリンクする日本の市場は、内外の企業にとって魅力のない存在だ。ここに物価が上がらない理由の一端があるだろう。

 こうした状況で、安倍首相がいう「新たな国造り」でいったい何ができるのだろうか。規制改革というのはすぐに思い浮かぶことではあるが、既得権益に切り込むことなくしては実効性のある規制緩和はできない。そして既得権益の恩恵を受けている人々は、基本的には自民党の支持層だ。こうした人々は少しでも長く既得権益を守ろうとするのが普通だから、実際のところ、現在の安倍政権で規制緩和による経済成長というのは実現不可能だと思う。

 市場が縮むならば、日本が頼れるのはいわゆる「知的財産」ということになるのかもしれない。しかし研究環境の悪化によって若手の研究者が育たないという問題が顕在化している。ノーベル賞を受賞した研究者が記者会見で必ず触れているのがこの研究環境の問題だ。政府もようやく、経済対策の一環として、若手研究者に資金を提供する方針を打ち出した。他にも大学改革や留学生誘致などやれることはいろいろある。2020年を日本の未来を託す若者を育てる元年としなければならない。

(元ニューズウィーク日本版編集長)

 

 

 

 


 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


 

 

 

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「カレント」は賀屋興宣(元蔵相・衆議院議員)が昭和39年、左右に偏することなくアメリカ合衆国を盟友として、自由主義社会であるわが国に、正しい世論を喚起することを目的に創刊。政治・経済・防衛・外交・教育を正しく導く論を広く求め、かつ訴えつづけている。カレントの意味は[潮流」。昭和61年には木内信胤(元世界経済調査会理事長)が継承。その間、福田赳夫元総理が維持会世話人代表をされ、根岸龍介が社長として行ってきたが、厳しい環境もあり77才を期に退任する。平成10年6月、潮流社がこの精神を受け継ぎ、日本再生のための潮流を起こす言論活動を開始。次世代のためにも日本を再創造することを広く呼び掛けている。