最終更新日2020/9/28

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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菅総理が語るべきは コロナ後のビジョンだ

 

藤田 正美 (ジャーナリスト)

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 安倍晋三首相の病気退任によって急に永田町が騒がしくなったと思ったら、あっという間に次期総裁、首相が決まった。少なくとも国民にはそう見える。

 それでも菅総裁の発言を聞いていて、気になることがある。大きなビジョンが欠けているのだ。とかく安倍長期政権の政策を継承するのかどうかから話題が始まるだけに、政権ナンバー2だった菅氏にとっては、自分のカラーを打ち出しにくいということはあるだろう。石破元幹事長が「グレート・リセット」と言い、日本は変わらねばならないと強調するのは、「自民党内野党」だから言えるとしても、その分、菅総裁のカラーが霞んでしまう。

 たとえば雇用。たしかに第2次安倍政権で雇用は大幅に改善した。しかしそれはよく言われるように、非正規雇用が急増したことによるものであった。非正規雇用は言葉を換えて言えば、安定しない雇用である。現に、新型コロナウイルス感染症が流行して、仕事を失った非正規労働者はいっぱいいる。さらに非正規労働者の賃金は、正規雇用に比べると圧倒的に不利だ。彼らの存在は、企業にとっては景気の波に遭わせた労働力の調整弁になっている。

 つまり有効求人倍率がすべての都道府県で1を超えたということを誇ってもいいが、それで事足りたとするのは納得しがたい。安定した雇用でなければ、家庭を持ち、家族を持つことを躊躇する人も少なくあるまい。その意味では、少子高齢化社会に対応して子どもを増やすには、雇用を安定させることも重要な要素の一つだと思う。

 感染症で大きな打撃を受けた経済を回復させるには、国が中心となって、大規模な支援をしなければならないことは自明である。ただ、企業を倒産させないために資金を注ぎ込むのか、それとも経済の在り方を変えるために資金を注ぎ込むのかで、日本の将来が大きく変わってくることは火を見るより明らかだ。

 菅総裁は「デジタル庁の創設」と言うが、何のためにデジタル化するのかを明確にしないと、また一つ「縄張り」が増えるだけになってしまう可能性だってある。デジタル化は、社会のいろいろなところで業務の在り方を変える。業務の在り方が変われば、組織の在り方や人の配置も変わる。さらに言えば、権力の在り方も変わるということだ。そこまで見通しながら、政府をデジタル化するということでなければ、世の中どころか政府すら大きく変えることはできない。

 新型コロナウイルス感染症を奇貨として、既得権益に風穴を開け、日本の未来を切り開く。大派閥の支援を受けた菅総裁にそれができるだろうか。単に改革や既得権益の排除というだけでは足りない。その先にある日本の将来像を国民に向かって語り、国民を説得することが必要だと思う。

(元ニューズウィーク日本版編集長)

 

 

 

 


 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


 

 

 

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「カレント」は賀屋興宣(元蔵相・衆議院議員)が昭和39年、左右に偏することなくアメリカ合衆国を盟友として、自由主義社会であるわが国に、正しい世論を喚起することを目的に創刊。政治・経済・防衛・外交・教育を正しく導く論を広く求め、かつ訴えつづけている。カレントの意味は[潮流」。昭和61年には木内信胤(元世界経済調査会理事長)が継承。その間、福田赳夫元総理が維持会世話人代表をされ、根岸龍介が社長として行ってきたが、厳しい環境もあり77才を期に退任する。平成10年6月、潮流社がこの精神を受け継ぎ、日本再生のための潮流を起こす言論活動を開始。次世代のためにも日本を再創造することを広く呼び掛けている。