最終更新日2019/2/24

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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「統計不正問題」を奇貨に 精度の高い公的統計の追求を

 

藤田 正美 (ジャーナリスト)

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「毎月勤労統計調査」という言葉がこれほどマスコミを賑わしたことはあるまい。日本経済をウォッチしているエコノミストはともかく、マスコミは通常、そのエコノミストたちの分析を伝えるだけで事足りるからだ。

日本経済の状況を知る上で、基本的な統計であるとはいえ、地味な統計で「手抜き」があった。首相官邸は、通常国会直前に明らかになったこの話に舌打ちはしただろうが、まさかこんなに長引いた上、国の統計のあちこちで不備が明らかになるとは想像もしなかったに違いない。

毎月勤労統計の問題自体は、尻ぬぐいにかかる費用(追加支払以外に約200億円)の大きさから想像できるような悪質さはない。そもそも法令で決められている手法で調査していなかった(全数調査ではなく抽出調査をしていた)というだけである。要するに人手が足りないからだ。問題を大きくしたのは、抽出調査だったら統計的な復元処理をしたデータにしなかったところにある。つまり東京のデータが実際の3分の1のまま集計されてしまった。これは本来、統計の専門家が見ればすぐ気がついておかしくない。しかし修正をしないまま放置した。後で統計的な修正をしたときに数字がはね上がったのは当然の帰結だ。比較的賃金の高い東京の数字が増えたからである。

本来、やるべきだったのは、まずは法令を変えて抽出調査を容認することだ。面白い統計がある。総務省がまとめた「国の統計職員数」という数字だ。各省にわたる統計職員の数を合計した数字だが、2004年には6241人だったのに、2014年には1959人になっている。約7割も減ったのだ。最も減らしたのは農水省だった。これは行政改革の結果だが、この間、厚生労働省も351人から240人に減っている。国の統計業務は地方に委託しているものもあるが、地方の統計職員も増えてはいない。民間委託を大幅に増やしたようにも見えないから、結局は現場にしわ寄せが行っているのだろうと想像する。

 総務省の統計基準担当政策統括官が作成した2016年の「統計リソースの現状と統計庁の質の確保について」と題する資料の中では、「各府省の統計リソースの強化が不可欠」と書かれている。つまり統計に従事する専門的な人材を強化しなければならないというのだ。そして「公的統計の精度向上のためには、高い統計技術をもっと官庁データサイエンティストの育成が必要不可欠」としている。つまり、統計の問題は以前から問題意識として共有されていたということだ。

 国会では、こうした統計の根本的な問題ではなく、瑣末な問題に時間が費やされているように見える。より正確な統計はよりよい政策をつくるために必要不可欠のものだ。そして政策の可否を判断するにはやはり正確な数字が必要だ。今回の問題をきっかけに、公的な統計が改善されることを強く望む。

(元ニューズウィーク日本版編集長)

 

 

 

 


 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


 

 

 

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「カレント」は賀屋興宣(元蔵相・衆議院議員)が昭和39年、左右に偏することなくアメリカ合衆国を盟友として、自由主義社会であるわが国に、正しい世論を喚起することを目的に創刊。政治・経済・防衛・外交・教育を正しく導く論を広く求め、かつ訴えつづけている。カレントの意味は[潮流」。昭和61年には木内信胤(元世界経済調査会理事長)が継承。その間、福田赳夫元総理が維持会世話人代表をされ、根岸龍介が社長として行ってきたが、厳しい環境もあり77才を期に退任する。平成10年6月、潮流社がこの精神を受け継ぎ、日本再生のための潮流を起こす言論活動を開始。次世代のためにも日本を再創造することを広く呼び掛けている。